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チェルノブイリ 健康被害、事故の4〜5年後

チェルノブイリ原発事故(一九八六年)から二十五年。周辺の汚染度は今も高く、放射性物質による健康被害も続 く。事故現場に近いウクライナ・ジトミール州ナロジチ地区を三十回以上訪れ、支援するNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」(名古屋市)の河田昌東(ま さはる)理事(71)に、福島第一原発事故との共通点や今後起こり得る事態を聞いた。 

 −現地の状況を。

 放射線量は事故直後の三十分の一程度に下がったが、被ばくが原因とみられる病気はいまだ多い。日本では、放射線を浴びると、がんになる確率が高くなるといわれる。現地では、がんよりも、心臓病や脳梗塞、糖尿病、免疫不全になる人が大多数。子どもの糖尿病も目立つ。

 −福島の事故で、日本でも放射能の影響が懸念される。

 チェルノブイリで周辺住民に健康被害が出始めたのは事故から四、五年後。福島でも今は目立った影響はみられなくても、結果はほとんど一緒になると危惧する。チェルノブイリの経験を生かし、今から対策をとる必要がある。

 −健康被害を抑えるためには。

 事故後一年目の対応が、後の被害の大きさを左右する。内部被ばくで健康被害を生じた人の半数は、初期に放射性物質を含んだ空気を吸い込んだことが 原因。マスクはとても大事だ。残りは汚染された食べ物を数年間にわたり食べ続けたことによる。結局、汚染された空気や食べ物をいかに体内に取り込まないか に尽きる。

 −日本で今、必要な政策は何か。

 国は除染作業の具体的な方法や方針を示していない。個人宅の除染に手が回っていないのが現状で、国や自治体がやらない限り、除染は広がらない。

 建物の除染は、素材に合わせないと効果がない。たとえばアスファルトは高圧洗浄だけでなく、表面をたわしでこすったり、削りとったりした方がいい。ウクライナでもよくやった。屋根も瓦とトタンではとるべき手法が違う。

 森林の除染も非常に重要だ。乾燥した落ち葉は、放射性物質が凝縮され、濃度が高い。街中を除染しても、森から放射性物質を含んだ落ち葉や粉じんが 飛んできたら、除染とのいたちごっこになるだけだ。チェルノブイリでは周辺に森はなかった。森林汚染は福島固有の問題でもある。


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